さて、今日は水曜日である。水曜日。別にどうということもない一週間の真ん中に位置するその日。これが私のボローニャ生活においてもっとも過酷な日であることを知るものは少ない。ていうか特に誰かに言ってる訳でもないので、当たり前だ。
日本にいる間、一週間で最も過酷な曜日といえば火曜日か金曜日であった。火曜は大学院演習、K先生の特講という午前から昼をまたいでの脂っこいコンボ、金曜は午後から夜中までバイトしていた。金曜なんてほぼ毎週夕飯食ってなかった。バイト自体は楽しかったし好きだったが、なかなかひどい生活だ。
ではボローニャではなぜ水曜が過酷か。それは今とっている大学の講義の始まる時間に起因する。なにせ朝の8時半から一時間半の講義を受けているのだ。そしてこれが終わってからイタリア語コース。11時から13時までである。まあ、半日ですむからいいっちゃいいのだが、そもそも朝に弱い私にとってはなかなかに過酷だ。冬のボローニャの8時半なんぞ日が昇ってから結構すぐって感じだし、まあ吃驚するほど寒い。かなりの重装備でなければ対応できない。
そして8時半の講義に行くには、家を7時45分頃に出ねばならない。これは私が中学・高校の頃にもしばしば出るのに失敗していた時間だと言わざるを得ない。なにせ高3の時分、一年の半分の日数を遅刻していた人間である。中高はプロテスタントの学校だったので、礼拝が8時15分からあった。家から学校まで40分くらいだったから、7時半前に出ればよかったはずなのだが、遅刻しすぎて学校から手紙をもらった始末である。遅刻して講堂礼拝中に着くと、教室が全部閉まっていて廊下で立って待たねばならなかった。これが嫌で教室の窓の鍵を15秒〜30秒で開ける技術を会得した。おかげで盗難事件のときに軽く疑われたくらいだ。誓って言うが私は人様のものなど盗んでいない。ただ寒いから教室に入りたくて窓を開けていただけだ。
いや、中高時代の話はどうでもいい。今話しているのはボローニャでの水曜日のことだった。そう、だから毎週7時45分頃、頑張って家を出ている訳だ。同居しているAちゃんも一緒である。今のところ二人とも皆勤している。家から5分程度歩いたところにあるバス停から33番のcircolare(循環バス)に乗って、ボローニャという街の周りをぐるりと回り、15分ほどで着くPorta San Donato(Porta=城門。昔は街を城壁が囲んでおり、そのいくつかの場所に出入り用の門があった)というところで降りて、てくてく歩いて教室に向かう。降りてから大体10分弱くらい歩く感じだ。
で、このまま教室に入ると確実に睡魔にやられる。まず間違いない。おそらく大学の友人たちは皆知っているだろうが、私は睡魔と格闘した場合、まず間違いなく敗北するタイプの人間である。本気で手の甲とかペンで刺してても寝る。さすがにいっつも一番前に座らざるを得ないこの講義で寝るのはどうかと思うので、可能な限りの対策を試みている。そのひとつが「直前カプチーノ作戦」である。
私の受ける講義は、Via Zamboni 32、italianisticaの校舎の3階でおこなわれるのだが、この校舎の前の広場には、学生に優しいカフェがある。その名をScuderìaという。ボローニャ大の学生証を提示すればカフェも軽食も値段が安くなる。ここが朝からあいているので、講義の直前にここで朝食をとることにしている。ちなみに、本日の朝食は何かカスタードっぽいクリームが入ったパンだった。0.7ユーロという懐に優しいお値段だ。しかし、個人的には朝に甘いものを食べるのは性に合わないので、パニーニとか置いてあればいいのに、と思う。昼頃になるとそういうものも並ぶのだが、朝は甘いものしかない。イタリア人は朝を甘いものとカフェの組合せで始めるのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
この朝食の際、私はいつもカプチーノを頼む。イタリアにいるのにエスプレッソが飲めない可哀想な子なので、目をさますためにカフェインはとりたいけども、そこに牛乳は入っていてほしい訳だ。これが許されるのは昼前まで(牛乳がいっぱい入ったものはあまり昼食以降は飲まない)なので、昼食後はカフェ・マッキアート(エスプレッソ+一滴のミルク)で茶を濁す。正直こちらは、何とか飲める、というくらいだが。ちなみに、一杯0.9ユーロという良心的な値段である。
コーヒーはダメでも、カプチーノくらいの牛乳とコーヒーの割合になると、わりと好きな飲み物になる。本当はラテ・マッキアートが好きだ。しかしこれは牛乳のほうが多いので、あんまり目が覚める気がしない。なので水曜の朝はカプチーノになる。家で食事とってくる暇がない、というかそれくらいなら寝ていたいので、ここにカフェがあるのは本当にありがたい。
まあ、こんな感じで燃料補給を終えて教室に向かい、講義の始まりを待つ、というのがいつもの水曜日だ。今日もそうだった。
そして今日もミラーニ先生は美学の歴史を語る。今回はちょっと風景画の歴史を概観した上で、美学に移った。先週のGraziaの概念についての講義は正直、予備知識がなさ過ぎて(そして申し訳ないがあまり興味もないので)辛かったのだが、今話しているあたりは面白い。
時にパソコン操作に戸惑い、時に学生に質問し、時に持論を語って白熱するミラーニ先生の言葉に耳を傾けながらの一時間半が終わると、先生に挨拶をしてから、そのまま街に出る。今日は別れる前、来年の春、大学入学前の高校生相手に日本映画の上映イベントをやるから、そのとき手伝ってくれないか、と言われた。実は黒澤明とか全然詳しくないから、大丈夫なのか心配ではある。
街に出て、11時から始まるイタリア語の授業の前に古いほうの市場へAちゃんと二人で向かい、夕飯用の肉を買う。イタリア語の授業中、教室に生肉を放置するのもどうかと思うので、コースの時間の違うAちゃんに肉を持って帰ってもらった。
その後、Via Indipendenzaから20番のバスに乗ってVia Mascarella近くで降り、イタリア語の授業に出る。朝の講義終了後で、イタリア語に対するシャッターがちょっと降りているため、水曜のこの授業は若干辛い。内容は火曜・木曜に比べると遥かに楽なのだが。
ボローニャ人のクリスティーナ先生は本日、黄緑で全身をかためていて、なかなかお洒落だった。それにしてもこのコース、スペイン人が多い。クリスティーナ先生はたまにスペイン語まじりで解説している。スペイン語圏の人間のイタリア語は大体、全部の単語の語尾が上がるので聞いていてちょっと面白い。そしてSとかCとかの読み方が違うので、彼らは結構な確率で発音を間違える。それをいちいち直すクリスティーナ先生とのやりとりがなんとも可笑しい。日本人のイタリア語は多分、何となく棒読みに聞こえてるんだろうな、と思う。抑揚がないのだ。
授業後、ぶらぶらと歩きながら、12月に親が来るときに予約するレストランの下見をして回る。4軒をのぞいたが、もちろん何も食べていない。ただ雰囲気とメニューの値段を確認するのみである。この作業はまあ散歩としては悪くないが、さほど楽しくはない。
その後、家に帰って昼飯。ズッキーニ入りアラビアータ風パスタと残ってたキャベツとアンチョビの炒め物。可もなく不可もなく。しばし適当にすごし、洗濯物を干したりしながら大家さんが家賃をとりにくるのを待つ。10月25日〜11月24日の分。今回はアパートの管理費が入るので、ちょっと多め。
大家さんがスペーゼ(ガスとか水道とか電気とかの代金)について話していったが、正直あまりよくわからない。大家さんが話す内容はいつも、私にとって大学の講義より聞きとりが難しい。とりあえず金曜に大家さんがスペーゼの領収書持ってもう一度来る予定だということはわかった。いつからいつまでのスペーゼなのかよくわからないので困る。今度の時はスペーゼの払い込み票に書いてある文言をもう少し時間かけて読みたいからコピーさせてくれ、と頼もうと思う。
その後、しばらく自室でパソコンをいじる。香港のKちゃんとちょっとだけskypeでチャット。その際、このブログに気温と時計のわかるガジェット、訪問者のいる国のわかるカウンターを装備してみた。でもよく考えたらカウンターいらねーなって思った。このブログ見てる人あんまいないし。けど装備したからにはそのままにしておこう。
それからもう一回色ものだけで洗濯機回して、夕飯の用意。月曜に作りおきした肉団子とゆで卵と野菜の煮物(和風、ちょっと手がかかっている)と味噌汁(レトルトに茄子突っ込んだだけ)と鶏胸肉のあわせ梅はさみ揚げ、サラダの残り。白米鍋で炊いたし、完全に和食。月〜水と和食作りおき作戦で乗り切ったので、明日からは洋食がいいかもしれない。
しかし今日こうやって見ると大していろいろしてないな。とにかく朝が過酷だったなーってだけだ。そういえば布団カバーが入荷しているか、upim(中級デパート)をのぞいて確認してくるのを忘れた。明日はのぞきに行かねばならない。
以上、今日は特別なことのない一日であった。
日本にいる間、一週間で最も過酷な曜日といえば火曜日か金曜日であった。火曜は大学院演習、K先生の特講という午前から昼をまたいでの脂っこいコンボ、金曜は午後から夜中までバイトしていた。金曜なんてほぼ毎週夕飯食ってなかった。バイト自体は楽しかったし好きだったが、なかなかひどい生活だ。
ではボローニャではなぜ水曜が過酷か。それは今とっている大学の講義の始まる時間に起因する。なにせ朝の8時半から一時間半の講義を受けているのだ。そしてこれが終わってからイタリア語コース。11時から13時までである。まあ、半日ですむからいいっちゃいいのだが、そもそも朝に弱い私にとってはなかなかに過酷だ。冬のボローニャの8時半なんぞ日が昇ってから結構すぐって感じだし、まあ吃驚するほど寒い。かなりの重装備でなければ対応できない。
そして8時半の講義に行くには、家を7時45分頃に出ねばならない。これは私が中学・高校の頃にもしばしば出るのに失敗していた時間だと言わざるを得ない。なにせ高3の時分、一年の半分の日数を遅刻していた人間である。中高はプロテスタントの学校だったので、礼拝が8時15分からあった。家から学校まで40分くらいだったから、7時半前に出ればよかったはずなのだが、遅刻しすぎて学校から手紙をもらった始末である。遅刻して講堂礼拝中に着くと、教室が全部閉まっていて廊下で立って待たねばならなかった。これが嫌で教室の窓の鍵を15秒〜30秒で開ける技術を会得した。おかげで盗難事件のときに軽く疑われたくらいだ。誓って言うが私は人様のものなど盗んでいない。ただ寒いから教室に入りたくて窓を開けていただけだ。
いや、中高時代の話はどうでもいい。今話しているのはボローニャでの水曜日のことだった。そう、だから毎週7時45分頃、頑張って家を出ている訳だ。同居しているAちゃんも一緒である。今のところ二人とも皆勤している。家から5分程度歩いたところにあるバス停から33番のcircolare(循環バス)に乗って、ボローニャという街の周りをぐるりと回り、15分ほどで着くPorta San Donato(Porta=城門。昔は街を城壁が囲んでおり、そのいくつかの場所に出入り用の門があった)というところで降りて、てくてく歩いて教室に向かう。降りてから大体10分弱くらい歩く感じだ。
で、このまま教室に入ると確実に睡魔にやられる。まず間違いない。おそらく大学の友人たちは皆知っているだろうが、私は睡魔と格闘した場合、まず間違いなく敗北するタイプの人間である。本気で手の甲とかペンで刺してても寝る。さすがにいっつも一番前に座らざるを得ないこの講義で寝るのはどうかと思うので、可能な限りの対策を試みている。そのひとつが「直前カプチーノ作戦」である。
私の受ける講義は、Via Zamboni 32、italianisticaの校舎の3階でおこなわれるのだが、この校舎の前の広場には、学生に優しいカフェがある。その名をScuderìaという。ボローニャ大の学生証を提示すればカフェも軽食も値段が安くなる。ここが朝からあいているので、講義の直前にここで朝食をとることにしている。ちなみに、本日の朝食は何かカスタードっぽいクリームが入ったパンだった。0.7ユーロという懐に優しいお値段だ。しかし、個人的には朝に甘いものを食べるのは性に合わないので、パニーニとか置いてあればいいのに、と思う。昼頃になるとそういうものも並ぶのだが、朝は甘いものしかない。イタリア人は朝を甘いものとカフェの組合せで始めるのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
この朝食の際、私はいつもカプチーノを頼む。イタリアにいるのにエスプレッソが飲めない可哀想な子なので、目をさますためにカフェインはとりたいけども、そこに牛乳は入っていてほしい訳だ。これが許されるのは昼前まで(牛乳がいっぱい入ったものはあまり昼食以降は飲まない)なので、昼食後はカフェ・マッキアート(エスプレッソ+一滴のミルク)で茶を濁す。正直こちらは、何とか飲める、というくらいだが。ちなみに、一杯0.9ユーロという良心的な値段である。
コーヒーはダメでも、カプチーノくらいの牛乳とコーヒーの割合になると、わりと好きな飲み物になる。本当はラテ・マッキアートが好きだ。しかしこれは牛乳のほうが多いので、あんまり目が覚める気がしない。なので水曜の朝はカプチーノになる。家で食事とってくる暇がない、というかそれくらいなら寝ていたいので、ここにカフェがあるのは本当にありがたい。
まあ、こんな感じで燃料補給を終えて教室に向かい、講義の始まりを待つ、というのがいつもの水曜日だ。今日もそうだった。
そして今日もミラーニ先生は美学の歴史を語る。今回はちょっと風景画の歴史を概観した上で、美学に移った。先週のGraziaの概念についての講義は正直、予備知識がなさ過ぎて(そして申し訳ないがあまり興味もないので)辛かったのだが、今話しているあたりは面白い。
時にパソコン操作に戸惑い、時に学生に質問し、時に持論を語って白熱するミラーニ先生の言葉に耳を傾けながらの一時間半が終わると、先生に挨拶をしてから、そのまま街に出る。今日は別れる前、来年の春、大学入学前の高校生相手に日本映画の上映イベントをやるから、そのとき手伝ってくれないか、と言われた。実は黒澤明とか全然詳しくないから、大丈夫なのか心配ではある。
街に出て、11時から始まるイタリア語の授業の前に古いほうの市場へAちゃんと二人で向かい、夕飯用の肉を買う。イタリア語の授業中、教室に生肉を放置するのもどうかと思うので、コースの時間の違うAちゃんに肉を持って帰ってもらった。
その後、Via Indipendenzaから20番のバスに乗ってVia Mascarella近くで降り、イタリア語の授業に出る。朝の講義終了後で、イタリア語に対するシャッターがちょっと降りているため、水曜のこの授業は若干辛い。内容は火曜・木曜に比べると遥かに楽なのだが。
ボローニャ人のクリスティーナ先生は本日、黄緑で全身をかためていて、なかなかお洒落だった。それにしてもこのコース、スペイン人が多い。クリスティーナ先生はたまにスペイン語まじりで解説している。スペイン語圏の人間のイタリア語は大体、全部の単語の語尾が上がるので聞いていてちょっと面白い。そしてSとかCとかの読み方が違うので、彼らは結構な確率で発音を間違える。それをいちいち直すクリスティーナ先生とのやりとりがなんとも可笑しい。日本人のイタリア語は多分、何となく棒読みに聞こえてるんだろうな、と思う。抑揚がないのだ。
授業後、ぶらぶらと歩きながら、12月に親が来るときに予約するレストランの下見をして回る。4軒をのぞいたが、もちろん何も食べていない。ただ雰囲気とメニューの値段を確認するのみである。この作業はまあ散歩としては悪くないが、さほど楽しくはない。
その後、家に帰って昼飯。ズッキーニ入りアラビアータ風パスタと残ってたキャベツとアンチョビの炒め物。可もなく不可もなく。しばし適当にすごし、洗濯物を干したりしながら大家さんが家賃をとりにくるのを待つ。10月25日〜11月24日の分。今回はアパートの管理費が入るので、ちょっと多め。
大家さんがスペーゼ(ガスとか水道とか電気とかの代金)について話していったが、正直あまりよくわからない。大家さんが話す内容はいつも、私にとって大学の講義より聞きとりが難しい。とりあえず金曜に大家さんがスペーゼの領収書持ってもう一度来る予定だということはわかった。いつからいつまでのスペーゼなのかよくわからないので困る。今度の時はスペーゼの払い込み票に書いてある文言をもう少し時間かけて読みたいからコピーさせてくれ、と頼もうと思う。
その後、しばらく自室でパソコンをいじる。香港のKちゃんとちょっとだけskypeでチャット。その際、このブログに気温と時計のわかるガジェット、訪問者のいる国のわかるカウンターを装備してみた。でもよく考えたらカウンターいらねーなって思った。このブログ見てる人あんまいないし。けど装備したからにはそのままにしておこう。
それからもう一回色ものだけで洗濯機回して、夕飯の用意。月曜に作りおきした肉団子とゆで卵と野菜の煮物(和風、ちょっと手がかかっている)と味噌汁(レトルトに茄子突っ込んだだけ)と鶏胸肉のあわせ梅はさみ揚げ、サラダの残り。白米鍋で炊いたし、完全に和食。月〜水と和食作りおき作戦で乗り切ったので、明日からは洋食がいいかもしれない。
しかし今日こうやって見ると大していろいろしてないな。とにかく朝が過酷だったなーってだけだ。そういえば布団カバーが入荷しているか、upim(中級デパート)をのぞいて確認してくるのを忘れた。明日はのぞきに行かねばならない。
以上、今日は特別なことのない一日であった。
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